ひよこの無天

ひよこ飛ぶ空に限りはなく

命題=真 TENET⇔スタァライトの対偶仮説

 

TENETは観終わった後論理が頭を駆け巡ります。スタァライトは観終わったあと感情が身体を支配します。脳の部位としてはちょうど反対、まさに左脳と右脳を稼働させたような全く異なる映画体験でした。

 

 

映画では、鑑賞した後に何を思い出すか、思い出そうとするかに、その人がその映画に何を見出したかが表されているとわたしは考えています。

 

自分の体験では、映画の後に真っ先に思い出されたのは、TENETではカーチェイスシーン、スタァライトでは大場ななの殺る気全開の表情でした。

前者は仕組みがひっかかっていました。逆走するにあたり、こちら側が普通に走っている時に順行世界の車は後ろを前にして走っています。つまり対象の車の後ろにぴったり付けるには、バック走行で爆走している車の前に出て、スピードを緩めればいいわけです。この理解に至るまでしばらくかかりました。

後者は最初に格好良さを感じたシーンです。この映画は序〜中盤で世界観が590°変わりますが、意味のわからない展開の速さの中で、大場ななの鋭い表情だけが無の思考空間の中に突き刺さっていました。

 

それぞれ大変特徴的なシーンです。そしてスタァライトはまだ観ていませんが、おそらく両者とも1度目と2度目の視聴体験が全く違うタイプの映画だといえるでしょう。両者に共通する点として、余念を抱かせずその担当領域に集中させることが挙げられますが、そのためには、特化して思考領域を占拠し続けるだけの情報量が必要です。あるいはこれらの映画は濃度を以って殴ることを是とし、最近問題となっているような飛ばしで映画を見る視聴者たちに、その隙を与えず映画を集中して観ることの素晴らしさを啓蒙していると言えるのかもしれません。

 

参考:言語処理とその脳の活動領域の考察https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=48392&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1